【登壇報告】全国子育てひろば実践交流セミナー in 奈良に参加して

こども家庭庁委託事業「地域の人材による子育て支援活動強化研修」

2025年11月29日〜30日の2日間、奈良で開催された「全国子育てひろば実践交流セミナー」に登壇させていただきました。
会場に集まった支援者のみなさん、そしてこの研修を支える行政・専門家・現場スタッフの熱量を全身で感じる、かけがえのない2日間となりました。

/1日目(11/29)@なら100年会館

行政説明:地域子育て支援の“いま”を知る

まず、こども家庭庁より地域の子育て支援に関する最新施策の説明がありました。
続いて、NPO法人 子育てひろば全国連絡協議会の奥山理事長より、施策と私たち実施者の役割、そして地域の課題やニーズの変化についてのお話があり、現場の視点から深く考える機会となりました。

/基調講演:赤ちゃんの発達とアタッチメント

東京大学・遠藤利彦先生による「赤ちゃんの発達とアタッチメント」の講演は、とても心に響く内容でした。

“アタッチメント=くっつき”がなぜ必要なのか。
こども家庭庁の「はじめの100か月ビジョン」に示される
「安心 ⇄ 挑戦の循環」 の重要性。

安心=アタッチメント
挑戦=遊び・体験

「ぐぅぐぅを利用する子どもたちは、この循環がかなっているだろうか?」
講演を聴きながら、何度も自分に問いかけました。

私が乳児期支援にこだわってきた理由のひとつは、
ボウルビィのアタッチメント理論エリクソンの発達段階理論にあります。
“人としての土台”がつくられる乳幼児期に、関わる人と環境がどれほど大切か。
「ぐぅぐぅ」という場が、その土台づくりの一翼を担えているのか。
改めて見つめ直す時間になりました。


パネルディスカッション:各地の取り組みに触れて

奈良県のこども施策、いこま乳児保育園での取り組み、保健所併設の子育てひろば「そらいろ」さんの事例など、自治体ごとの違いや強みが紹介されました。

大阪市の都市型コミュニティとの違いを浮き彫りにしながら、
「拠点が目指す子育て支援の軸」を整理する機会になりました。

その後のグループワークでは「アタッチメント」「地域とのつながり」をテーマに、全国から集まった支援者が方言まじりに熱量高く語り合う時間に。
毎回思いますが、子育て支援者のコミュニケーション力の高さには本当に脱帽です。

/2日目(11/30)@奈良コンベンションセンター

第一分科会に登壇:「これからの地域子育て支援拠点の役割」

日本福祉大学・渡辺顕一郎先生による最新のニーズ調査発表から始まりました。

女性の就労率上昇、父親の育休取得増加などによって拠点への要望が多様化していること。
家庭養育中の赤ちゃんとの過ごし方が変化していること。

その研究結果を見て、
「ぐぅぐぅでは日々スタッフが親子と対話することで、自然とニーズを拾い、活動に反映してきた」
ことが、数字の裏付けを得て腑に落ちました。

ちょうど、来年度へ向けた広場運営の改善・改革のアンケートにも取り組んでいるところ。
日々変化、日々改善” を胸に、これからも利用者視点を忘れない拠点でありたいと感じました。

私の話題提供:「子育て支援 × まちづくり × 防災」

あおぞら湯としてスタートしたときから、
・北区区政への関わり
・防災の人材育成
など、3領域を行き来しながら活動してきた経験から、
都市部・大阪市北区のコミュニティの特徴、そしてタワマン急増・共働き増加に伴う
乳児期の親子の孤立” の課題をお話ししました。

大阪市のような大都市域では、限られた予算の中で
「叶うこと」「叶わないこと」を数多く経験します。
それでも、新しい協力を得て3拠点を運営できるようになり、
“お風呂屋さんのように、誰の心もあたためる場所”
でありつづけたいという思いが強くなっています。

また、支援の連携を進めるためにも、保育・教育業界が苦手としてきた
DXの重要性 を改めて実感しました。

グループワーク:150人分の実践知が集まる場

分科会後半の実践交流会では、
「いま、できていること」
「これから、したいこと」
をシェアする時間となり、150人分のアイデアが模造紙いっぱいに広がりました。

それぞれが思い浮かべる“利用してほしい親子の顔”がそこにあり、
全国の支援者の丁寧な対話の風景に胸が熱くなりました。

さいごに:

乳幼児期の子育て支援は本来、とても大切な仕事です。
しかし、権限も認知度もまだ十分とは言えず、無力感を覚えることもあります。

そんな中、第一分科会の締めくくりで粟澤代表がおっしゃったことばが心に残りました。

「これしかできない」ではなく「これならできる」。

このリフレーミングが、私の心を大きく支えてくれました。

また、渡辺先生から朝のMTGで
「北区の“いま”をそのまま話せばいいよ」
と言っていただいたことで、
あおぞら湯らしい「等身大の地域子育て支援」をお話しすることができました。

今回の全国セミナーはまさに、
“実践者がエンパワーされる場” でした。
同じ課題に向き合いながらも背景や環境が違う全国の仲間と出会い、
「これならできる」を積み重ねていこうという思いが強くなっています。 これからも、小さくても確かな“安心と挑戦の循環”が生まれる場づくりを丁寧に続けていきたいと思います。